アメリカ精神 【小池清通】

 
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 エッセイ:  きよしこの夜

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 2002年12月2日の午後にふと思うことがあった。

 コロラドの冬は厳しい。自然 (Mother Nature)に包まれて過酷な時もあるが、必ず暖かく見つめてくれているロッキーの山々。大自然の懐に身を任せるようにして、この地に根を張って私も早20年になる。どんな時でも季節は周り巡ってやってくる。今年も12月に入り、いよいよ気温も安定した?下がり方を続けているお陰で、最近は昼間でもヒーターが回る。

 不況。そして戦争への不安がコロラドの冷たい空気にも混じってあちこちを包んでいる。それでも、11月末のサンクスギビング - Thanks Giving Day (感謝祭)が終わるとアメリカ人たちは皆クリスマスを楽しみにショッピングを始めるのが恒例である。七面鳥を生贄にして家族が集まり寄って大量の食事を消耗する連休も終わり、更に大きくなった人たちは気持ちだけは足取りを軽くしてモールやショッピングセンターのサンクスギビング明けの大バーゲンに走る。年間の売上の12〜15%をこの数日ではじき出すという時である。おもちゃ業界は年間の売上の3分の2をこの時期からクリスマスにかけて上げるという。

 先日の雪がまだ溶けきれず木陰などに見える残雪。明日はまた雪の予報がでているからホワイトクリスマスよろしく、その雰囲気になりつつある季節なのであるが、大手航空会社であるユナイテッドが倒産寸前の危機に。旅行業界が同時多発テロ事件以後大きなダメージを受けているのはご存知の通りだが、ハイテクバブル時代に手を広げすぎた会社、そして、それに溺れて自惚れ一本で胸だけは張っていた連中が、動揺を続けているのである。

 表向きの気だけは強いアメリカ女性たちの多くも、人員解雇や減給などの現実的な恐怖から不安が募ってヒステリー状態の人が増えているとも聞く。精神治療医が繁盛しているのだろうか。

 普段凄い勢いの気強さを見せる彼女たちが、その巨大な体を振りまわすようにしてボディーランゲージを表しながら叫ぶ姿は、映画のヒステリーシーンそのままなのである。現実に見ると笑っている暇もなく、如何にして避難するかを問われるサバイバルゲームなのである。「オー!」「アー!」などと喘ぎ声なら色気もあるが、落胆とストレスで固まった吐息に似たような重量感たっぷりの声を聞くとうんざりこん。

 国連のイラクへの武器工場などへの査察は進んでいるらしいが、打倒フセインを宣言するブッシュ大統領はまだまだ戦争の口実を狙っているかのように思えてならない。チェイニー副大統領がデンバーを訪れている。演説の内容はただただフセイン大統領の危険と彼を打倒する必要性を説いていることであった。戦争への政治的な準備の一環と見られても仕方がないであろう。ブッシュのイラクへの怨念は恐ろしい。

 今年は早いように思えるが、11月も半ばくらいからクリスマスソングが鳴り響いている。誰でも知っているこの歌。あえて英文のまま載せる。 気分がよかったら口ずさむのもいい。

 Silent night Holy night
 All is calm all is bright
 'Round yon virgin Mother and Child
 Holy infant so tender and mild
 Sleep in heavenly peace
 Sleep in heavenly peace

 Silent night, holy night,
 Shepherds quake at the sight.
 Glories stream from heaven afar,
 Heav'nly hosts sing Alleluia;
 Christ the Savior is born;
 Christ the Savior is born.

 Silent night, holy night,
 Son of God, love's pure light.
 Radiant beams from Thy holy face,
 With the dawn of redeeming grace,
 Jesus, Lord, at Thy birth;
 Jesus, Lord, at Thy birth.

 きよしこの夜♪いい歌ではないか。でも、静かなそして神聖な夜を歌うこの歌詞が空しいご時世。イラクや他の中東諸国にもイスラム教という素晴らしい宗教があるが、この歌はキリスト教のもの。

 宗教は人を救うこともできると言われるが、一人一人の信仰、考え方次第なのだろう。「信じるものは救われる」といわれている。

 これは、人々を救う神の子が生まれたことを祝う歌でもあると思う。イラク査察が続いている。アメリカのボランティア精神は素晴らしい。しかしながら、何故やたらと他国に干渉して自分たちでそれを「善意の元に」コントロールしようとするのであろうか。「静かな夜、聖なる夜」クリスマスが近づくと避けることが困難なほどにあちこちで流れるこの歌。街角は豆電球で飾られた街路樹に包み込まれ、住宅街は思い思いに飾られた電球や飾りでクリスマス気分が盛り上がる。気温の低下がクリスマスへ近づく時期であることを強調している。

 性別、年齢、出身地、人種、宗教、性志向などに関わらず皆平等のはずの国アメリカ。現実にはそんなうたい文句をあちこちに載せないと法的に訴訟が多くて困っている差別多き国、アメリカ。その現実の矛盾をまず解決してから他国に援助なり「救いの」手を差し伸べてもいいような気がする。アメリカには、落ちついて世界をリードするだけの潜在的なとてつもない力があると思うが、まだそれを信じる人が少ないのであろうか。

 「信じるものは救われる」

 宗教はこんなところでもいい教えを説いていると私は思う。あとは我々の考え方しだいである。世の中には物質では計り知れない我々の潜在意識の中にある素晴らしいパワーというものがある。

 

 
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