アメリカ精神 【小池清通】

 
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 エッセイ:  虚栄心

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 誰にでもある虚栄心について触れようかと思う。車社会のアメリカにおける、車両につけるナンバープレートの話をしたい。州によってデザインや法律が違っているから、警察の人などはその種類を覚えるだけでも大変だとは思うのだが、私の住んでいるコロラド州について話したい。

 ここではまず2つ大きな種類(二輪車用にはここでは触れない)がある。自家用車用とトラック用である。そこからまた多岐に分類があり、REC(リクレーション車両)用、身障者用、公用車用(上院・下院議員、大使館・総領事館、州・郡・市車両など)、軍人用(勲章受賞者、海兵隊・空軍・陸軍関係者など)、公共職務者用(消防署勤務・元勤務者など)、同窓生用(コロラド大学同窓生)、特殊機関援助用(野生動物保護献金者など)。まだあるが、沢山あるんだということさえ分かってもらえればいい。

 数年前にコロンバイン高校銃撃事件があった。たまたまコロンバイン(西洋苧環・おだまき)が同高校の名前であり、またコロラド州の州花であったこともあり、こんなプレートがでたのである。「Respect Life(命尊重)」という言葉が入っている。白く雪を戴いたロッキーの山々を背景にして、中央部にはコロラド・コロンバイン(ブルーコロンバイン)の花が描かれている。人命の尊さを呼びかけているものである。特殊な、または指定の機関に所属していなければ取れないプレートと違い、誰でも取れるプレートの一つである。

 一般的なものは、白地に緑のプレート。コロンバイン・プレート。そして、バニティープレートと呼ばれるものである。この3種類は誰でもつけれるのである。「Vanity」とは「虚栄心」という意味である。誰にでもあるそんな気持ちを尊重して作られたプレートであり、毎年何十ドルか払えば車に付けられるものである。それらの費用は、道路工事費などに回されるというから公用費を集める手段としては、ビジネス的にプロモーションをしたり、限定販売してプレミアを付けるのに似ている。しかし、それを公共機関がやっているのである。日本でいうと陸運局である。

 虚栄心というと見栄や見せびらかしの意味もあるが、助け合いという気持ちを表現したり、自分が何か良いことをしているのだという自己満足心を与えたり(アメリカ的ボランティア的満足感)、また、特殊な団体にいるという気持ちを煽る表現の自由を車のライセンスプレートに表しているのである。

 また、ある団体に寄付をすると、寄付証明書がもらえるという。野生保護関係の団体である。その証明書を持参すれば「野生動物保護」のスペシャルプレートにすることもできるらしい。

 自由の国アメリカ。単に人の気持ちをうまく利用しては、公的資金収集のツールとして使っているだけのように思えるこの頃。不景気、株価下落による不安、失業、減給、銃の問題、天災、作物の不作、エイズ・癌などの疾病、文盲率、肥満、などアメリカ国内だけで問題の数や量は計り知れない状態である。人の善意で納められた資金が、しっかりと公のために活用されていることを祈りたい。

 

 
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