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人並みにおしゃれをと考えても、生まれつきにその点のセンシビリティーに欠ける私には入っていけない世界がある。それはそれとして、男として「美人」と呼ばれるそれぞれの主観が舵を握る女性判断能力は、これまたそれなりに持っていると自負している。
そんなものを自負してもJAFマークをもらえる訳でもないが、ある小春日和の高級デパートで面舵一杯!と主観という船長が選んだ「美人」のカテゴリーにすっぽりと当てはまる人が歩いてきた。デンバーでも有名なチェリークリークショッピングモールに業務視察の添乗でお客さんと一緒に行った時のことである。
ふと横を見るとお客さん達も健康状況はいいらしく目つきが変わっていて、見ないふりをしてまじまじと見ていた。すらっとした長身で、スーパーモデルの誰かに似ているような雰囲気を引きずる女性は、長い足を高いヒールでより一層長く見せていた。ちょうどコンパスを開いて移動するようなイメージで細い足はスタンスタンと前にはじき出されるように飛び出しては交互に後ろに回っては、また前にしゃしゃりでていた。
長い髪をなびかせながら、平手打ちを食らわしたら手に突き刺さるのではないかと思われるトッキントッキンの高い鼻とフランク・シナトラを彷彿とさせるようなブルーの目を初々しく輝かせながら胸を張って周りの視線を気にしているようにも思えた。高級化粧品売場に向かうかのように私たちと入り口付近ですれ違った時に、かすかに芝生を刈った時のような草の臭いの香水が鼻をついた。
ところが、同行のお客さんの一人が彼女の後ろ姿に引かれて前に進む体とは反対に顔を後ろに向けて行進していた時である。デパートの店員の姿が途切れた所を見計らったように「ブッブビー!」っとそのすこし上がり気味の柔らかそうにプリンプリンと左右に揺さぶられていたお尻から快音が放たれたのであった。
目を真ん丸にして驚く客人とは正反対に、快音を放った本人は素知らぬ顔をして消えていった。
アメリカでは礼儀というものが日本とは違い、おならよりもげっぷの方を下品とする。これが普通のスーパーだとあちこちで快音が聞かれて特に珍重もされないが、この時は我々の注目を奪った御仁からの発射であったため、そのインパクトは大きかった。文化の違いをみせられた思いであった。
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