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ご同輩というのであろうか、私の友人の中には40〜50代の男たちが多い。何人かは腕に刺青をしてはいるが頭はすでに白髪(グレーと呼ぶが)となり中年のピークを迎えているかのように人生を楽しんでいる。外見は凄みのある奴もいるが、心は皆優しい。そのうち何人かはベトナム戦争の経験を持っている。アメリカの愛国心を体一杯に表して背筋を伸ばす。退役軍人のなごりが残っていて話し方もきびきびしていて気持ちがいいが、ベトナムの話となると言葉が曇る。
「仲間を自分の真横でなくしている。」とM氏が肩を落として話してくれた。私はその時代は日本にいたがベトナム戦争に関する報道を聞いた記憶がほとんどない。ましては何の為の戦争だったかも知らなかった。映画「フォーレスト・ガンプ」(トム・ハンクス主演)などでもベトナム戦争に徴兵されて前線で戦うシーンが入っている。特撮を使ってはいるが、主人公の脇で仲間たちが吹き飛ばされる。
以前、オレゴン州に住んでいるC氏と話した時には身の毛がよだつ思いがした。彼はベトナムに兵士としていた頃、仲間たちと近くの飲み屋に行ってウイスキーを飲んでカウンターに座っていた。彼は一番奥の席に座り彼の左横には巨漢の男が座っていた。ドアのあく気配がした時に彼は入り口方向を巨漢の肩越しに見た。小さな女の子が籠を持ってたっていた。籠の中にはフルーツが並べられにっこりと笑ったその子が可愛らしかったという。腰をおろしてウイスキーのグラスに口を戻そうと思った時に大爆発が起こった。
籠の中の時限爆弾が爆発したのだった。少女は即死。彼女の近くにいた軍人やお客も爆風で吹き飛ばされたという。C氏は横に座っていた巨漢が楯になってくれたお陰で爆音による耳鳴りだけですんだ。しかし、その惨状を見て吐き気がとまらなくなり、巨漢の左半分が爆発で焼け爛れているのを見て床にうずくまってしまったという。
戦争も終わり郷里に戻って仕事も始め家庭も築いてきたC氏だったが、年に一、二度突然当時の情景がフラッシュバックしてきては彼を襲っている。裸で突然叫びながら外に飛び出してはごみ箱を全てひっくり返したりするという彼の話を聞いた時、ベトナム戦争が残した心理的なダメージはまだまだ治ることがないと感じた。
プロレベルで活躍していたあるスポーツ選手が、ベトナム戦争後退役して社会復帰をはかったが同様の精神的なダメージが消え去らず、あるテレビ局が捜査を行ったところ浮浪者を保護するシェルターにいたと聞いたことがある。退役後まともな仕事につくことができず麻薬に走り、アル中も重なってあちこちをさ迷う人が少なくないともいう。
知られざるアメリカの実状のひとつである。湾岸戦争の退役軍人がどのような影響を受けているかは知らないが、ベトナム戦争の傷は深い。
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