IQ 知能指数 【小池清通】

 
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 エッセイ(4) IQ

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 これは昨年の話であるが、ある視察関係訪問に同行した時のことである。IQというと知能指数を示す数値であるという程度は知っていると思うが、私はそれがどういう意味なのか真剣に考えたことがない。Intelligence quotientの頭文字をとった略号である。

 リーダーとしてこられたAさんは理工系の会社に勤めた後、ご自分の能力を社会に活かしたいと考えて独立しコンサルティングをされている方であった。とても誠意があり、明晰明快といった頭脳が卓越している印象の強い、それでいて話し方は至って穏やかで笑顔が明るい方であった。あるハイテク関係会社への訪問が無事終了しホテルに向かうバスの中で談話が始まった時である。私は不意に当時米国書記長だったかをされていたライスさんの話を口に出していた。彼女はIQが240位あるというとんでもない知能の持ち主だとAさんは興味深く付け加えてくれた。

 知能指数検査というのは、自分自身における認識はないが日本の学校教育の中で知らないうちに行われ教員だけが見ている可能性があるものであるともいう。人の話しているごく自然な道理や常識が理解できて、社会の中で周りに迷惑をかけずに貢献して生きられればいいと思っているのだが、この指数はものの善悪に対する言動をどうこうするものではなく、どちらの方向に向かったとしても速度を加速するスピードの違いのみを数値で出すもののようである。

 Aさんが言うには、このライスさんは知能指数が240あるから普通の人(IQ100)の倍以上の知能があるという。何も考えずに、私は彼にこう言い出していた。「そんな人だと、普通の人を見たらどう思うのでしょうね。」すると彼はまじめな顔をしてこう言った。「僕はIQ185あるんですけどね。」微笑みながら「普通の人を見たら馬鹿に見えるでしょうね。何を言っても話が通じないし腹が立つでしょう。」休まずに彼は話し続けた。「チンパンジーのIQが40〜50だと言われています。普通の人間の半分またはそれ以下です。奴らを相手にしていたら馬鹿らしくて腹が立ちませんか。」

 数値的なものによる比較を基本とした彼の見解には面白いものがあった。それは数値の低いものを、その高いものが馬鹿にするという感覚ではなく、単なる数値の上下で見上げたり見下したりするという心理が働いているということである。どんな人間でも素晴らしいものがあるから、知能レベルだけで必ずしも判断できるものではない。それにしても、ライスさんが私と話をしたら、私は彼女が使える政権に賛成するだけの非常識観念がないから、私が言ったことに腹を立てるのは分るが、果たしてチンパンジーを相手にして腹を立てるだろうか。その点でAさんはどうも自分の理論が単なる一つの身勝手に限定したテーブルの上だけで考えられる方程式のようなものであると思っていたらしい。

 IQ200。一体、どういう思考回路なのだろうか、検討もつかない。

 
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