アメリカ実情 【小池清通】

 
写真家【小池清通】
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 エッセイ:  テロと医学

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 テロリズムといわれるテロ活動やテロ主義に対するアメリカの嫌悪感や復習精神には想像を絶するものがある。実際には被害妄想に近い精神的な不安定さが基盤になっている恐怖心理に近いところがあるように思える。問題なのは、それを政府のレベルでやっていることであり、ブッシュ政権が主導権を握ってから起こった911事件は大きな影響を現在に至っても強く与えている。事件後に行われたアフガニスタン侵略とイラク侵略も現在に至っているが、軍事的な力を持って武力で大統領が言う「悪の主軸」を根絶しようとした共和党大統領を「主軸」にする2000年スタートのアメリカ政府首脳陣は軍役経験がないか逃げてた者が多く形成しているらしい。ブッシュその人も補助兵の当時の記録を都合よく消している。

 2004年11月の大統領選挙を前にしてテロ撲滅を題目とした内容が強調される中「テロリストを殺して..」という言葉が飛び交う。不思議に思うのは「テロリスト」という固有名詞がどこまで具体的な個人や集団を把握しているというレベルで理解した言葉なのかということである。それは「テロ精神」を根源とした「テロ行為」が常に決まった人や集団からでるとは限らない病原菌に似た本質や性質を持つものであるということなのである。

 最初の侵略はアフガニスタンにいるタリバン(以前米国はソビエトの侵略に対して支援している)がテロ組織だとして行っている。911の影の主格であるビンラディンに加担しているという汚点からである。アフガニスタンの国家に対するものではないが、物理的にはその国土への攻撃を継続し今も犠牲者が出ている。

 次の侵略はイラクにいるサダム・フセインという独裁者に対して行われ、結論としてフセインを拘束して「フセイン政権」を崩壊させた。しかし、彼を取り除いたイラク国内は内乱状態に陥り以前の国家による弾圧はなくなってはいるが自爆テロが続出し罪のない市民は以前よりも命の危機を感じる日々を送るに至っている。また世界最大の核弾頭保有をしているブッシュ大統領が恐怖を抱き侵略の理由として掲げていた多量殺人能力のある武器は未だに見つかっていない。

 私が言いたいことはテロリズムという精神は常に決まった人や国家にあるものではなく、がん細胞と同様に誰の心の中にも巣を作り始める可能性がある病原と同じ性質のものであるということである。ゆえに、それは具体的な国の問題ではなく、人の精神の中に芽生え大きくなるものであり、存在する人間すべてが憎悪や復讐心をなくし被害妄想をなくさない限り、絶滅させることは不可能なのである。

 テロを撲滅させるという名目でテロ組織がいると思われる家屋に爆撃をすることは、がん細胞を摘出して病気を治すのと同じアプローチである。職業軍人を侵略国管理、治安安定のためという名目で駐屯させているのは抗生物質や化学療法を続けてがん細胞の再発を防いでいるのに似ている。聞くところによるとがん細胞というのは健康な人でも1日にいくつかの小さな数で発生しているらしい。それでも、体の自己治癒能力がそれを潰しているから医学でいう癌という症状や診断にまでいたらず、健康を保っているという。胃潰瘍も同様であろう。潰瘍の卵のような胃炎もどきは毎日発生しているけども胃液の保護能力がそれをカバーしている。

 アメリカのテロ対策はテロを叩き潰して勝つ、とあるが、勝てるわけがない。なぜならがん細胞と一緒で人々の精神の中に発生するものだからである。テロと呼ばなくても起こっている米国内の大小の犯罪や銃砲機による犯罪や事故はその証である。この対応の仕方が西洋医学と東洋医学の違いに似ていると思う。問題が起これば、その悪の根源を絶やせばいいという考えは前者にあるもので、全体の新陳代謝を促し体の自然の力を使って毒を出し回復に向かわせるという後者との違いが顕著にでているように思う。。

 テロを潰すなら、まず国内の保全と国民の精神衛生を保たせるための健康保険システムや景気回復の政策を促すのが東洋医学的な自己治癒能力を高める最善の方策だと思うのは、やはりアメリカでは通じないものなのか。1つの爆弾を落とす費用でどれだけの国民を助けることができ、それによってどれだけ国民の精神的な健康を回復できるものだろう。

 
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