アメリカ実情 【小池清通】

 
写真家【小池清通】
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 エッセイ:  猿の山盗り

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 知恵のある猿たちが山に住んでいた。果樹や野菜も豊富な土地が多くて注目を浴びるほどの存在感を持っていた。物質的には恵まれてちょっとお天狗になっているところがあったから、自分たちが他の山の連中をいじめたりコントロールすることはあっても、自分たちが攻撃されたり脅されたりすることはないと鷹を括っていた。

 内弁慶。恵まれた食料や環境で大きく育った猿のリーダーは、勢いだけで威張っていた。信仰心を刺激して指導者を崇拝させるようなふりもみせていた。神の恵みがありますように。そんな都合のいい時だけにでてくる神様は、裏の仕組みを知らない素直で純粋な人を騙すことはあっても、実際にいるようなものでは決してない。

 はったり男。採れる食べ物が豊富で外の世界にも出回っていた。どこからも夢の国として憧れの的になっていた。だから、他の山に行っていらんことをしてちょっかいを出しては正義ぶっていた。他山の分化や歴史を深く勉強することなく、まして尊重するようなこともなく、単に自分の良識判断で良いことをして半ば強制的に有難く思え、とお節介をあちこちにしては問題が起こっても採れる果実などを送ってはして誤魔化していい顔だけをしていた。

 被害妄想狂。山のシンボルの一つであった巨木が倒れた。遠い乾燥地帯の猿たちが裏工作をして攻撃したらしい。その巨木を失った猿のリーダーは、まさか自分たちの山にそんな攻撃があるとは思ってもみなかったから、恐怖におののくと共に復讐心に溢れていた。しかし夢の世界と崇拝される国のリーダーが簡単に怒ってはいれない。知恵を絞って神様を出した。そして自分たちの山に埃を持つ猿たちの愛国心を利用した。あちこちの村の木に国旗が立てられ、移動する猿たちは背中に国旗を張って愛国精神をしめしていた。だからリーダーへの支援は増大し歴史に残るような顕著なものに膨れ上がった。自惚れたリーダー猿は、そう神様が自分たちを守ってくれているのだと、宗教的ないいこぶりを含めて猿たちを乗せ、復讐の裏工作をし始めた。

 このリーダー猿の親父は一度そのさばく地帯の親猿と大喧嘩をして殺されかけたことがある。こいつはいい機会だと、親父の復讐も含め山の猿たちをうまく丸め込んで総攻撃をかけようと仕組んでいった。ところが、思うようにはいかない。世界の山々の代表者が集まる猿連合の会議で彼の考えの正当性が認められないのである。彼は焦っていた。なぜなら、そのさばくの猿の土地には豊富な魅力的な果実が地中深く眠っているのである、それも巨大な量で。その果実を欲しがっているのは彼だけではないのである。何とか暴力でさばく猿の大将を叩き潰して利権を押さえたい。彼は燃えていた。欲が顔に現れるようになっていたことに自分自身は気づかないまま。

 山猿連合組織は、取り決め条件にどうしても当てはまらないことから結論をだせなかった。彼は一人強行軍に出て自分の山の若い優秀な戦闘用猿部隊をさばくに送った。彼にとっては、世界からの孤立も覚悟での行動であった。ところが、彼は自分の山の中で毎日必死に働き家族を養っている勤勉で信仰に厚い猿たちのことを考えていなかった。何十年間もの間に彼らが納めた税金は、彼らの生活を保護し向上するために使うものと信じられていたが、山の住民たちへの保護や支援は全く考えずに彼はその蓄えをさばく猿攻撃に使い始めた。

 すぐに戦いは終わるだろうとさばくを馬鹿にしていたリーダーは、砂嵐に合う若き勇者たちに激励をしてはいたが、自分が戦闘に立って戦おうとは決してしなかった。死者や怪我人が少しずつ増えてきた。リーダーの顔はしわで歪み、飛び出した耳が顔を以前よりも愚かで醜いものにしていった。さばくにはさばくの環境があり、そこで生活する猿たちにはさばくと共に生きてきた分化がある。リーダー猿は、それを尊重し理解しようとはしなかった。

 しかし、彼の山はそれだけ裕福になっていたのである。そこに住む猿たちも黙ってみている訳にはいかない。リーダーに対する不信が高まっている。しかし、行動を起こさなければ、彼の言動が間違っていると思っていてもそれを承認していることになる。さてさて、天地をひっくりかえして平和を取り戻すもっと簡単な方法を思いつく猿が出てくるのだろうか?

 補足:ブッシュという英語には様々な意味がある。茂み、(複数形で米俗語)田舎、未開拓地、もじゃもじゃ毛、(卑)陰毛、女性の陰毛部分(研究社:新英和大辞典 第六版)名前で人を判断するのは失礼である。言動が伴うと不思議と名前の意味の意味が分かる時もある。

 
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