|
お馴染みOさんと会った時のことである。彼は「シンクロ」のパワーソースのような方で不思議な「偶然」がよく起こる。いや、彼の言葉を借りれば、不思議な「必然」がよく起こる。私自身はまだまだシンクロそのものに馴染みが薄く、どちらかといえば霊気や自然パワーとの接触の方が多いようなのである。
この日の早朝に名古屋から上京し、写真関係で銀座に立ち寄った。天候が崩れており雨が降っていたが、コロラドの気候に慣れてしまっている私は借りた傘をさすことなく歩いていた。午前中のミーティングが終わった後に地下鉄で虎ノ門まで出向き、地上に出た。雨はまだ降っている。地図で見た方角に向かって待ち合わせのホテルまで歩いた。湿った空気が肌に触れ、雲から時々大粒のものを含んだ雨がジャケットを濡らした。
ホテルでOさんと再会し勢いよく話に花を咲かせ始めた。この日の夕方は急遽神奈川まで出向き仕事の関係で寄るところができていたが、Oさんとはいつも以上に気のテンションが高まり、有意義に時間が流れていた。
そんな時、Oさんがおもむろに書籍をかばんから出して見せてくれた。「サスペンスものの本なんですけどね、話を聞いていたものを書店で見つけたんで思わず買ったんですよ。読んでみたんですけど“専門的な”言葉が多くてね。」「でも最後の方にいくと引きずり込まれるようにして終わりまで読んでしまいましたよ。」楽しそうに話してくれたOさんの顔をみて私はうなずいた。
Oさんが「ところでこの後はどこに行かれるんです。」私は神奈川のある福祉施設に挨拶に向かうことを伝えた。軽度の精神障害を持った方々が社会復帰前の訓練などを受けているところであった。それを聞いたOさんが目を見開いた。「えっ、そうですか。実はねえ。この小説の“専門的な”説明というのが精神病に関してなんですよ。」
「僕は人と会う時に本を持って出ることはないんですが、今日はなぜなんだろうと思っていたんです。」彼の必然論の理由が判明したのである。「そうかあ〜。」と微笑む彼の顔を見ながら、私も不思議に思えたこの「偶然」は、やはり何かしらの「必然」的なことへと導かれているのかと成り行きが楽しみになってきた。
町田でのミーティングは「必然」的にうまく進み、将来的な展望をもって今も進展している。
|