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私が師匠と承諾もなく一方的に仰いでいるOという方がいる。ともかく目に見えないパワーのある方で会って話をしていると不思議なパワーを引き出し増幅てくれるような人である。Oさんの話はいずれさせて頂くとして、彼の知り合いには興味深い不思議なパワーの持ち主が多い。そんな中にとても好感の持てるCさんがいる。
Cさんと始めて会ったのは2002年のことであるから、それほど前の話ではないが、初対面で何かが流れ始めるのを感じたのである。名古屋の栄のある喫茶店でセントラルパークの南にある大木が生える公園を見下ろしていた。話に花が咲き時間が知らず知らずに流れ、パワフルな気の流れが体を飲み込むように流れ始めていた。しかし、それは火花を散らすようなパワーの激突によって生じるという類のものではない。なぜなら、まず私にそんな力はない。それに、あったとしても非力なものであろうから。
話をしていると、まるで同類の波長が合流し、太く力強いものになって単一では出ないような力や流れを持つというものに感じられた。パワートークであった。目下に見える樹木が風に煽られてしなるようにして動いていたが、果たして風圧によるものだけだっただろうかと思えるような感情溢れる枝の動きが見えた。これが霊気に通じるようなレベルのものなのだろうかは、私には分からないが今までにないエネルギーのようなものを感じていたのは確かであった。
その数日後に私はOさんと友人と東京の赤坂で夕食を共にすることになっていた。彼らとは帰国されてから初めての再会となる。そんな話をしているうちに、Oさんを担ごうかという案がCさんとの間に出たのである。しかし、Oさんは何といっても私が師匠と仰ぐ人である。人を驚かせたり担ぐことはあっても、この人を担ぐとなると至難の技であろう。Cさんが気持ち良く乗ってくれたお陰で、そんな懸念はなくなり、楽しみというか性質が悪く思われるかもしれないがわくわく感がこみ上げた。私達は意気投合して策を練った。
人を担ぐ算段がこれほど楽しいとは思わなかった、といえるほどOさんとの再会が楽しみになった。しかし策を練ったといってもCさんが本当に東京まで足を運べるかどうかは当日の午後にならないと分からないけども、という前提の元であった。
ちょうど赤坂にオフィスを構える親友とのミーティングを終え、定刻前に到着するように、私は何知らぬ顔をして待ち合わせのホテルのロビーに向かった。しばらくするといつもながら惚れ惚れするような輝く笑顔を顔一杯にしてOさんが現れた。そしてもう一人の友人が現れ、ホテルのレストランに足を運んだ。福岡の料理を出す店があり、そこの個室風の部屋をお願いした時にOさんが一声をあげた。
「実はね。今日はある方を招待してあるんですよ。」さすが師匠である、それが誰であるとは決して言わない。
「そうですか。楽しみだなあ。誰だろう。」私には誰だかさっぱり検討がつかなかったが、気にせずに席につき話に花を咲かせ始めた。ちょっと間をおいて、私は席を数回たった。「ちょっと明日のアポの確認があるんで、」師匠は何も疑わない。私は店の外の廊下の端の方にある公衆電話に向かいCさんに連絡を入れた。「今新幹線の中でね、あと..分で東京に到着します。」ややっ、確かに向かっているらしい。私は思わず微笑んだに違いない。2度目の確認の電話を終えてレストランの入り口に向かった時に思わぬものを見た。
レストランの入り口にUさんが見えたのである。Uさんとは「砂丘のコーヒーカップ」を贈って下さった方である。(講演の案内から「砂丘のコーヒーカップ」をお読みください。ここではMさんになっていますが、そこでも不思議な話があります。)見えたというのが適切かどうかは分からない。なぜならUさんがそこに実際にいたのではなかったからである。
何知らぬ顔をして席に戻った私は開口一番Oさんに向かって言った。「その来られる方ってUさんじゃないですか。」Oさんが大きく目を開けた。いや、そう悟られまいとすばやく目つきを厳しくして疑い深く言った。「な〜んだ。表で会ったんでしょう。」私は、正直に起こったことを伝えた。人を担ぐことはあっても担がれたことのない人である。合点がいかないらしい。茶目っ気一杯の暖かい目をこちらに向けて、しかしながら私を完全に疑っていたOさんの携帯電話がその時を見計らったようにして高々と突然鳴った。
電話の相手の声を聞いてOさんの顔色が変わった。私の方をちらりちらりと見つめていた。電話が終わると「今のはUさんからの電話で今xx駅を抜けたからあと15分くらいで到着するって....」彼の私に対する疑いは解けた。そして、私の知らんふり演技もばれずに順調に進んでいた。
タイミングよろしく、そのほんの数分後にCさんが店に入ってきた。私は個室の入り口の脇にいたから入ってくる人が誰だかすぐに分かった。「あっ、どうもお久しぶりです。」我ながら最高の演技であった。私の声を聞いたOさんはUさんが思ったよりも早く着いたと考えたに違いない。Cさんが入ってくると度肝を抜かれたような顔をした。「あっ。」「えー。」言葉がでないようである。座椅子の上でもごもご動きながら、我に戻ると「あっ、ひどい。わー、悔しい。あーなんで〜?」喜びと驚きと悔しさが一緒にでるとああもすがすがしく明るい笑顔になれるのかと思えるほど輝く笑顔を照れくささで隠しながらOさんが叫んだ。
Cさんと私はこの数日前に初対面。OさんはCさんとこの数日後に他の用事で会うことになっていたらしい。そして、Oさんは自分は絶対に担がれないという自負があった。こんな事実関係から、私達の純粋で自己満足達成の企みは見事に成功したのであった。Oさんはこの日別れるまで、自分が担がれたことを腹の底から悔しがっていた。私はそんなOさんの純粋で正直なところが気に入っている。
「霊気」とは何とや、などと論じるほどそれに通じてはいないが、こんな一連の出来事が、なぜか「霊気」のレベルでつながっているような気がしている。
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