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白黒写真は写真撮影の原点と言われています。色彩というよりも白黒の強弱で形を表現し、その中で意図を読み取らせます。単純に見えるものほど奥が深い、と昔の人が言ったようにモノクロ撮影にも同様のチャレンジがあります。
光と影のかもし出す芸術はモノクロ写真の得意とするところかもしれませんが、暖かさや微妙な変化を感情表現として出す点ではカラーはなかなかのものです。しかしながら、この光の強弱・影の強弱だけで、そしてコントラストの加減や流れによって表情や意図を映し出すにはやはりモノクロに魅力があります。
太陽が高く上っている時にはそれほど強い感情表現をしない砂丘群も日の傾き、そして太陽光の変化によって影を登場させ思わぬ別天地を描き出すこともあります。広角で引きつけても、望遠で前面の景色の一部を借りて撮影しても、それぞれの場所とタイミング、そして与えられたギフトによって撮る構図が変わってきます。

(左上)砂丘の尾根が上下左右にうねっているところに、傾き始めた夕日が陰を登場させています。陰の登場の前に光の変化が砂の表面から顔を出します。炎天下や日中の太陽の高い時には地味に淡色に染まっているように見える表面にある砂紋(風紋)がこの時ばかりにと影を引いて存在感を強調。それまでに通り過ぎた風たちが残していった足跡です。対象に見えるように並ぶもの。長さがまちまちで検討のつかない気まぐれな流れをみせるもの。途中で消えてなくなっているもの。後から到来した砂たちに飲まれて下に消えていくもの。それぞれが静かに物語を語っているようでもあります。
(右)まるで大海の波のように砂丘面を削った風の跡が見られます。そんなところにも新たな砂紋が顔を出し、止まることのない砂の到来と別れを待っています。
自然はなにを語りかけようとしているのでしょう。永遠の流れの中で風任せに旅を続ける砂たちは季節に応じて方向を変え、それに従って砂丘群は形や向きを変えては長い年月を過ごし、これからも過ごしていくのでしょう。
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