自然 写真 【小池清通】

コロラド 写真家 エッセイ【小池 清通】
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 持続性が必要な意味


 ローテクの恩恵
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 持続性が必要な意味
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 人は皆、容易な方法で目標に達することを好む傾向がある。辛い思いをするよりも楽にゴールに入りたいのは本能的心理かもしれない。人生そのものに関して考えてみても古来から楽を求めることを主体とした祈りが多く、祈りを叶えるという「期待」を売り物にして運営資金を得ている非営利団体も少なくない。

 ハイテクの普及によって「楽」になったものが多いが、様々な意味があると思う。便宜上または活用上スムーズに物事が運ぶようになったという意味のものと、自分でできるのだがそれを使ったほうが楽になったというもの。もちろん私はハイテクを否定しているわけではなく、たとえばデジカメの普及によって報道写真の転送、記載が大変「スムーズ」になったことは情報のスピードという意味において視覚的なものが文章に追いつき、同時に印刷機に向かえるという大きな活用地位をやっと得ることができた。昔は新聞記者は特種を撮影すると急いでフィルムの現像をして印刷に間に合わせようと必死であったことと思うし、間に合わなかったこともあっただろう。また、医学上の手術撮影においてはフィルムを換えなくても数百枚も撮ることができるようになり、大いに活用されている。

 物事は一長一短があり、技術のスタイルにおいても十人十色という好みや主観的なまたは志向的なスタイルがある。

 手間がかかるものが必ず良いとは言わない。しかしながら、手間をかけるプロセスの中に何かしらの意味があるとしたらどうであろう。物理的に言えば筋肉増強トレーニング。もちろん粉末蛋白質や筋肉増強剤を投与してのそれではない。個人差はあるにせよトレーニングをし始めて一ヶ月するとやっている本人は筋肉がついてきたと思うらしい。実際に他者が見て視覚的に違いがみえるのに三ヶ月という。私自身もそれは実際に経験している。そしてその三ヶ月から先が持続性を持ったトレーニングがものをいう時期である。

 簡単にすむものもいいが、持続性を持ってこつこつとやることによってのみ得られるものは物理的な「結果」だけではなくその主観的個々のソフトな部分であることを私は大切に思っている。写真撮影においても、何度も通うことによって初めて培われる感性がある。そして、自然が心を開いてくれた時にそれを逃さずに感じ取れる感性があるからこそ自分自身の個性を活かした作品作りができるのではないだろうか。そして絶対に同じものを見せてくれない、言い換えれば、いつも違ったものを必ず魅せてくれる自然と対面した時にどれだけのものに自分が気づくかという感覚を磨く喜びを得ようとする人は、この「持続性」の意味がよく分っていることと思う。

 

 
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小池清通の自然美
The Great Mother Nature by Kiyomichi Koike
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